8/24放送「オーガニック・コットンで衣料業界に新風を!」

今回ご紹介する中小企業は、昨年3月の東北大震災の津波で稲作ができなくなってしまった土地を利用して、潮に強い綿(コットン)を育てるという“東北コットンプロジェクト”に協賛している「天衣無縫」というブランドを展開する「株式会社新藤」。

新藤では、農薬や肥料の化学物質を使用せず、紡績・染布などすべてにおいて自然素材の使用を徹底している。今でこそ「オーガニックコットン」という言葉が広く浸透してきているが、新藤は20年前からオーガニックコットンを使い始め、「天衣無縫」としてタオルや衣類を販売してきた。一般的に中小企業が自社ブランドを持つことは簡単ではないとされているが、「天衣無縫」はいかにしてブランドとしての地位を獲得してきたのか。中小企業のブランディングの秘訣を学んでいく。


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――オーガニックコットンとは?――

もともと()新藤はタオル屋さんを展開していたという。それがなぜオーガニック事業をすすめることになったのだろうか?

()新藤の代表取締役の藤澤徹さんにお話を伺ってみると…

「かつてアメリカの大規模綿花生産農業は、農薬を多量に使用した綿花生産を行っていました。そんな中、一部の農家がそうした化学農業を続けていては自分たちが病気になってしまうといった反省からオーガニックコットンという有機栽培でできた綿花を生産するようになった。0.1%以下だけれども、そういった農家がいるという話を聞いて、これだ!と思ったのです。」

こうして始まった天衣無縫のオーガニックコットン商品は、いまや渋谷のヒカリエや日本橋の高島屋など5店舗で販売されている。

さっそく、お店を訪れているお客さんに話を伺ってみたところ…

「自分で身にまとっていてとても体にしっくりくるし、値段はあまり気にしない」


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――確立せよ!こだわりから創り出す中小企業のブランド力――

このように、綿花栽培の0.1%以下という希少な原料を使用したオーガニックコットンのタオルやストールは、触った瞬間にその違いがわかるほど優しい手触り。とても軽くて、ふわふわだ。

東北コットンプロジェクトでできた商品として「東北コットン TOHOKU COTTON PROJECT」というロゴを付けて販売されるこれらの商品。気になるお値段はというと…タオル一枚で5000円~8000円!1000円以下で売られている通常のタオルと比べると、まさにブランド品というお値段。相当の価値、そしてブランドとしての信頼感がこの値段を実現しているのだろう。

しかし、一中小企業がこれほどのブランド力を確立するのはとても難しいはず。いったいどうやってブランドを創り上げたのだろう?

再び藤澤さんにお話を伺ってみると、ポイントは3つ。

まず一つ目はDCブランドからコンセプトブランドへ

「オーガニックの商売は、あえて言えばコンセプトブランド。昔はDCブランドといって、いわゆるデザイナーさんのデザインで新しいブランドをつくっていましたが、オーガニックはコンセプトにこだわることでブランドを創り上げているのです」

そして二つ目は、原料の選抜と製造プロセスのこだわり

「オーガニックは、綿花生産の0.1%以下の原料を使い、糸を作り、生地を作り、衣服やタオルを作って出荷するという製造プロセスのすべてにおいてこだわりを持っています。そして、その原料は有機栽培で、自然との共生から生まれているから周辺の自然環境を破壊せず、健康も損なわない。空気・水・土も痛めない。そうした、少数だがある意味で未来志向的な、可能性を含んだ農業製品を100%使っている。また、工業生産でも排出物処理に気を配り、化学染料にも有毒なものは一切使用しない。こうした本来のコンセプトを見やすくしてデザインしていくことが重要なのです」

最後は、ファッションではなくライフスタイルを提案する

「変わったものを作るというだけでは、ファッションの流れに吸い込まれてしまいます。次の流行が来れば消滅してしまう。だから、一時的な流行に終わらせないで、オーガニックという新しいライフスタイルを確立することが必要なのです」


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しかし、中小企業がこれらを浸透させていくにはどうすればいいのだろうか?

今でこそヒカリエや高島屋などに店舗を持つ()新藤も、初めは社長自らがバイヤーの方々に、ホームページやブログを通じて自社の商品とそれを作る想いを発信し続けたという。そうした社長からの発信にバイヤーの方々が共感して、販路が拡がっていったのだ。一所懸命に想いをぶつけることが出発点となる。

こうして20年間積み上げてきたものがいま開花した()新藤も、自社を“製造直販型スモール企業”と呼んでいる。つまり、自分の会社だけですべてのことはできないが、工場を持たずしても様々なネットワークを通じてメーカーであり続けるというポジションを確立していることも大きなポイントなのだ。




~山口義行のヒント~

『共感ビジネス』

自分たちが、これこそが必要だと思うものを見つけ、それに共感してもらうために一所懸命になって共感の輪を拡げていき、価値観を共有することがビジネスに繋がる。

~櫻井浩昭の実践キーワード~

『性能とともにストーリーを織り込め!』

今回で言えば糸の太さや柔軟性といった数値に示された性能へのこだわりとともに、製造過程や作り手の想いといった商品の物語をもつ!そしてそれを“タオル“だけに“織り込む”わけですね()

商品に関するストーリーを語ることで、消費者にその商品の価値や意味を伝えていき、買い物を通じて消費者もそのストーリーに参加することができる。そのためには、その商品のストーリーを語ることが出来る人材を育てることも重要。

こうしたこだわりを持つ企業がどんどん増えれば、日本はもっと元気になる。まさに、中小企業が日本を創っていく、中小企業の時代ですね!!